2017年

3月

06日

男性が地域で幸せに暮らすすべを考える Vol.3

 

35日(日)、第3回「地域で男性が幸せに暮らすすべを考える」が終了しました。
今回は小峰が話題提供したので概要を報告します。

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そもそものきっかけは、20053月、のらの店主新井さんが書いた「コミレス構想」との出会いにあります。新井さんは「コミレスは子育て支援の要」というレポートの中で、「①保育園を増やし、保育時間を延長するだけが子育て支援ではないし、子育てサロンのようなサービスだけが母親の心のケアをするとも思わない。②誰もが立ち寄れる「コミュニティレストラン」で、すべての人たちを支える仕組みづくりをしたい。」と言っていました。 

 

ちょうどこの頃、埼玉県庁の子育て支援課で、まさに保育園や子育てサロンを増やす仕事を

していため、この提言はインパクトがありました。私自身、県庁でずっと福祉の分野に携

わってきました。福祉は、介護、子育て支援、障害者支援というように、法律も制度も対象

者別にできています。しかし、実際の暮らしは対象者別にできているわけではないので、

様々な課題に直面した人たちがゆるやかにつながることができる場が必要だと思っていまし

た。 

 

また、コミュニティは問題を抱える人間のつながりで、人と人が繋がって、お互いに気遣いあいながら、問題を共有化し問題の解決を図る場が必要であり、誰かが誰かをケアするという一方的な活動ではなく、お互いに支援し支援される双方向の関係づくりが大事だと考えていました。 

 

こうした中、自分の実家が、母が一人暮らしとなり、部屋は荷物置き場、庭の手入れも困難になっていました。そこで、「住宅地の空き庭にコミュニティスペースをつくりたい」と思いました。すっかり人が来なくなった「空き庭」に突然、コミュニティスペースができたら面白いのでないかと考えました。

 

実現までには少し時間がかかりましたが、20096月、「コミネテイをコミュニティカフェにする構想がスタート。庭をつぶして、その庭に2階建ての店舗付き住宅を建て、200911月、2Fを賃貸スペース「ガーデンハイムK」、1Fにのらがオープンしました。 

 

のらは、地産地消の手づくり料理やスイーツを提供するレストラン。16畳の多目的スペースでは、週23日、講座やワークショップなどが開催されています。月3,000円、販売手数料なしで、手作り品のギャラリーやプチショップ用のスペースも提供。カウンターにはビアサーバーがあり、営業時間内いつでもエビスの生ビールや有機ワインなどを提供しています。 

 

のらがオープンして1年半後の20114月、のらで異業種交流の飲み会が開催され、そこでBABAラボの代表、桑原さんに出会いました。桑原さんは、①高齢者が100歳まで働けるものづくりの職場をつくりたい。②高齢者のアイデアによる「孫育てグッズ」という新たな市場をつくりたい。③こうした高齢者の居場所を都市部につくりたい。ということで場所を探しているとのことでした。 

 

一方、実家の方は、庭に店舗付き住宅を建てたのですが、母の認知症が進み一人暮らしができなくなり都内に転居することになりました。現在は認知症のグループホームで暮らしています。それで、この空き家の活用法を模索していたところでした。

 

桑原さんの話を聞いた時、高齢になっても、自分の能力を活かして賃金を稼ぐことで、社会との関わりや働く喜び、いきがいを持てる場をつくるというコンセプトに賛同しました。また、のらは、子育て中の若いママ達がご飯を食べたり、ワークショップをしたりして賑わってきていたので、その「のら」の隣でBABAたちがミシンを使ってものづくりをしている風景がとても面白いと思いました。それで、この実家をBABAラボの拠点として使っていただくことになったわけです。

 

20119月にBABAラボがスタートしたわけですが、住めばすむほど「2Fがもたいない」ということになり、2Fの荷物をかたづけて、2Fも含めて活用いただくことになり、201112月、シェアオフィスやレンタルサロンも備わった「自分らしい仕事づくりを応援する家=のらうえ」としてリスタートしました。 

 

「BABAラボ」方は、1Fは工房兼ショップやキッズルームなどがあり、2FはBABAラボの事務所とシェアオフィスがあります。子どもが迷子にならない「シッポ付きトートバッグ」、おばあちゃんが長時間抱っこしても疲れにくくて授乳にも便利な「抱っこ布団」、メモリが見やすく、花びら型で持ちやすい哺乳瓶など、高齢者のアイデアを製品化して販売しています。 

 

「大家が地域で幸せに暮らすための4か条」を考えてみました。第一に、「店子の繁栄なくして大家の繁栄なし。店子の夢の実現に向けて、常に応援者となること」です。 

 

のらでは、まず、人手が足りない土曜日にボランティアをしています。ボランティアの内容は、仕込手伝い、接客、ドリンク出し、皿洗い、座布団・タオルの洗濯などです。公式HPについては、最新情報やイベントカレンダー、ブログの更新をしています。FBについては、日々の出来事、ランチメニュー、イベントの情報を発信しています。不定期ですが、助成金の申請書づくりもします。これまでに、赤い羽根共同募金、全労済地域貢献助成事業、小規模事業者持続化補助金の助成を受けることができました。月1回、土曜の夜に、のらの活用方策として、お酒を飲みながら素敵なジャズを聴く会を開いています。そのほか、しかてぶくろ新聞のコラム投稿、残高試算表(貸借対照表&損益計算書)のチェックなどをしています。 

 

BABAラボについては、なかなか運営に直接は関われませんが、のらのHPやFBを使って、新商品、テレビ出演、イベント開催のPRをしています。こうして、徹底的に応援することが、ゆくゆくは大家の繁栄につながると考えています。 

 

第二に、「住まい方は大家が押し付けず、店子のスタイルに合わせること。店子の創意工夫により、物件の付加価値を高め、家賃収入を維持すること。」です。 

 

誰も来なくなった住宅街のひっそりとした庭に、レストランや広場ができて、様々な人が食事をしたり、交流したり、賑やかな場所になりました。年に何回かしか使われない空き家のリビングは、高齢者や子育て中のママ達が働く工房兼ショップになりました。和室は打合せやまかないの場所となり、食堂はキッズスペースになりました。姉の部屋は、レンタルサロン、後に第二工房になりました。荷物部屋になっていた自分の部屋は3つに区切られて、シェアオフィスになり、父の部屋はBABAラボの事務室になりました。 

 

のらの2Fのアパートについても、「埼京線中浦和駅徒歩8分、1LDK、40㎡」ということだと、賃貸物件の価格は決まってきます。同じような条件であれば、初期支払い費用が安いところから埋まっていく傾向にあります。 

 

しかし、この物件の場合は、ドアを開けるとすぐ目の前が「BABAラボ」であり、階段を降りれば左側にはBABAラボがあって、高齢者たちで賑わっています。右手にはのらの勝手口があり、厨房でボランティアができる。気に入ったワークショップがあれば参加でき、夜の飲み会にも参加できます。年に2回、春と秋に開催される「しかてぶくろ縁づくり市」というお祭りの時には、内勤、外勤とも仕事はいくらでもあります。こうしたことは、ミニミニの情報には入っていないのですが、こんなことが評価され、物件の価値が高まったらいいと考えます。 

 

アパートは年々古くなり、評価額が下がってきます。家賃を維持するのは困難な状況になります。様々な人がこの「場所」にやってきて、出会いや交流を通じてステップアップしていく。そうした「賑わいの場所」のある賃貸物件ということで、敷地全体の価値が高まって、家賃収入も維持されればいいと考えています。 

 

そして「付加価値を高めるための工夫」の最後は敷地全体の話です。「のら」、「のらうら」、「のらのうえ」と活用してきたわけですが、「のらうら」のうら、いわば「のらのおく」まだ車3台分くらいのスペースがあります。今は、物置、BABAラボの自転車置き場、プロパンガスのボンベ置き場になっています。なぜか、冬至の時期になると、夏蜜柑が豊作になります。その昔、旧い家の頃は、この場所はガレージになっていて、学生時代に後楽園球場(今の東京ドーム)で開催されて中古車フェアで買った、往年の名車、73年式のコロナハードトップが置いてありました。 

 

狭い土地ではありますが、小さな家なら建つのではないかと思っています。新たな活用方策が整ったら、チャレンジしてみたいと思っています。 

 

「大家が地域で幸せに暮らすための4か条」の第三は、「思い立った時が吉日。退職を待つということではなく、思い立った時に少しずつでも考え始めること」です。今日は20053月から話を始めたので、当時は44歳ということになります。地域とつながりを持たずにいて、定年後にいきなり「地域デビュー!」というのは、なかなか難しいのではないかと思います。年を重ねるに連れて守りに入ってきますので、「思い立ったときから少しずつ」というのがお薦めしたいと思います。 

 

第四に、「プライベートの充実なくして大家の幸せはないということ」。昨年のGW、火曜日~日曜日まで6連休になったわけですが、そのうちの5日間、火曜日~土曜日まで、のらで過ごしてしまいました。地域活動には、ライフラインを支える家族の理解が不可欠であり、プライベートの時間も大事だと考えています。 

 

様々な人たちが出会って、交流し、ステップアップしていく、「のら」と「BABAラボ」があるこの場所を維持し発展させていくことが、大家が地域で幸せに暮らすことにつながるのではないかと考えています。

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この後、のらの調理人新井幸一さん作の「のらまんじゅう」を食べながら、参加者同士で自由な意見交換を行いました。

次回312日(日)は、いよいよ最終回(4回目)。話題提供は春日部市の公民館職員である山下剛士さんです。お時間があったら、ぜひご参加ください。