「知って得するコミュニティビジネス~空き家活用事例より~」でお話したこと

2月16日(木)、広域関東圏コミュニティビジネス推進協議会と経産省関東経済産業局の共催によるシンポジウムに行ってきました。テーマは「空き家活用」ということなので、空き庭を活用した「のら」と空き家を活用した「BABAラボ」の事例を話してきました。
これまでの経緯や現状、大家の心得、今後の展開について話をしましたので概要をアップします。関心をもってもらうと嬉しいです。

 

写真は私の実家です。左が「空き庭」の活用事例、右側が「空き家」の活用事例になります。

 

「空き庭」活用のきっかけは、20053月、のらの店主新井さんとの出会いにあります。
新井さんは「コミレスは子育て支援の要」というレポートの中で、
①保育園を増やし、保育時間を延長するだけが子育て支援ではないし、子育てサロンのようなサービスだけが母親の心のケアをするとも思わない。
②誰もが立ち寄れる「コミュニティレストラン」で、すべての人たちを支える仕組みづくりをしたい。
と言っていました。

ちょうどこの頃、埼玉県庁の子育て支援課で、まさに保育園や子育てサロンを増やす仕事をしていたため、この提言はインパクトがありました。
県庁でずっと福祉の分野に携わってきました。福祉は、介護、子育て支援、障害者支援というように、法律も制度も対象者別にできています。しかし、実際の暮らしは対象者別にできているわけではないので、様々な課題に直面した人たちがゆるやかにつながることができる場が必要だと思っていました。 

また、コミュニティは問題を抱える人間のつながりで、人と人が繋がって、お互いに気遣いあいながら、問題を共有化し問題の解決を図る場が必要であり、誰かが誰かをケアするという一方的な活動ではなく、お互いに支援し支援される双方向の関係づくりが大事だと考えていたので、新井さんがいう「大きくすべての人たちを支える仕組みづくり」というところに共感したのだと思います。 

そんな中、自分の実家が、母が一人暮らしとなり、部屋は荷物置き場、庭の手入れも困難になっていました。そこで、「住宅地の空き庭にコミュニティスペースをつくりたい」と思いました。すっかり人が来なくなった「空き庭」に突然、コミュニティスペースができたら面白いのでないかと考えました。

 

いまの形になるまで、少し変遷がありました。
プラン1は敷地全体を更地にしてしまい、5階建てのマンションを建てるというものです。
1Fは会議やワークショップなどができるコミュニティスペース、2~3Fは2LDKの部屋が3戸ずつ、4~5Fは2LDKの部屋が2戸ずつ、計10個の賃貸があるという壮大な計画です。
さすがに10個の賃貸を恒常的に埋めていくというのは難しいのではないか、建築費の回収はそんなに簡単ではないだろうということで、このプランは2週間くらいでなくなりました。

プラン2は、母が住んでいる2階建ての家をコミカフェにして、庭に母の住居を含む収入型住宅を建てるものです。 
これなら現実的だと思い、プラン2は詳細な平面図も作成しました。

ところが、よくよく聞いてみると、母は住み慣れた家を出たくないということがわかりました。これまでの長い歴史を踏まえると、「庭先に建てた家に移るだけ」というわけにはいかないということなのだと思います。

そんな経過をたどって、今の形のプラン3、母屋はそのまま母に住んでもらい、庭に2階建ての店舗付き住宅を建て、1Fをコミカフェに、2Fを賃貸スペースにするというプランになりました。こうした経緯で、200911月、のらがオープンしたわけです。

 

次に「空き家」活用の経緯です。のらがオープンして1年半後の20114月、BABAラボの代表、桑原さんに出会いました。「提言」とありますが、のらでたまたま開かれた異業種交流飲み会で話を聞いたということです。
桑原さんは、
①高齢者が100歳まで働けるものづくりの職場をつくりたい。
②高齢者のアイデアによる「孫育てグッズ」という新たな市場をつくりたい。
③こうした高齢者の居場所を都市部につくりたい。 

ということで場所を探しているとのことでした。 

一方、実家の方は、庭に店舗付き住宅を建てたのですが、母の認知症が進み一人暮らしができなくなり都内に転居することになりました。現在は認知症のグループホームで暮らしています。それで、この空き家の活用法を模索していたところでした。
桑原さんの話を聞いた時、高齢になっても、自分の能力を活かして賃金を稼ぐことで、社会との関わりや働く喜び、いきがいを持てる場をつくるというコンセプトに賛同しました。
また、のらは、子育て中の若いママ達がご飯を食べたり、ワークショップをしたりして賑わってきていたので、その「のら」の隣でBABAたちがミシンを使ってものづくりをしている風景がとても面白いと思いました。 

それで、ぜひ実家をBABAラボの拠点として使ってもらいたいと思った次第です。
2011
9月にBABAラボがスタートしたわけですが、住めばすむほど「2Fがもたいない」ということになり、2Fの荷物をかたづけて、2Fも含めて活用いただくことになり、201112月、シェアオフィスやレンタルサロンも備わった「自分らしい仕事づくりを応援する家=のらうえ」としてリスタートしました。

 

ここで大家の収支です。 

収入はのらの2Fの家賃75,000円+共益費が2軒分、BABAラボは固定資産税相当の2万円、のらの家賃は計上なしということで約18万円。
支出はアパートの管理費、固定資産税、そして母に対する家賃7万円で約11万円です。
単純に考えると7万円の黒字ということですが、転居した後はしばらくは家賃がゼロになったり、古い物置を撤去したり給湯器が壊れたりと何かと経費がかかり、トントンという状況です。

 

続いて、8年目に入ったコミュニティビジネス大家の心得を4か条にまとめてみました。
第一に、「住まい方は店子のスタイルに合わせるということ」。創意工夫して使ってもらうことで物件の付加価値が高まると思っています。
誰も来なくなったリビングが工房になり、ダイニングがキッズスペースになる。荷物置き場になった子ども部屋がシェアオフィスやレンタルサロンになる。 

また、のらの2Fのアパートについても、「埼京線中浦和駅徒歩8分、1LDK、40㎡」ということだと、賃貸物件の価格は決まってくるわけですが、「1Fにコミカフェがあり、隣にBABAラボがある物件」ということが評価されればと思います。 

様々な人がこの「場所」にやってきて、出会いや交流を通じてステップアップしていく。そうした「賑わいの場所」のある賃貸物件ということで、敷地全体の価値が高まって、家賃収入も維持されるのではないかと考えます。
第二に、「店子の夢の実現に向けて、常に応援者となること」。のらについては、土曜日に人手が足りなければボランティアをする、HPやFBをこまめに更新するのが大変であれば平日の夜や朝にやる、助成金が必要であればその申請書づくりするなど日々応援することが大家として必要と考えています。 

BABAラボについては、なかなか運営に直接は関われませんが、のらのHPやFBを使ってPRのお手伝いをするといっことで、徹底的に応援することが、ゆくゆくは大家の繁栄につながると考えています。こどもがスポーツ選手やお笑い芸人などで有名になると、その親もテレビの取材を受けたりしますが、そんな感じをねらっています。
第三に、「思い立った時が適齢期ということ」。地域とつながりを持たずにいて、定年後にいきなり「地域デビュー!」というのは、なかなか難しいのではないかと思います。 

第四に、「プライベートの充実なくして大家の幸せはないということ」。地域活動には家族の理解も不可欠であり、プライベートの時間も大事だと考えます。

「のら」、「のらうら」、「のらうえ」とやってきて、今後の展開については、とことん「うらを極める」か、さらなる「上を目指す」かという二つの方向になるかと思います。

 

「うらを極める」方向についてですが、「のらうら」のうらにまだ車3台分くらいのスペースがあり、今は、物置、BABAラボの自転車置き場、プロパンガスのボンベ置き場になっています。 

なぜか、冬至の時期になると、夏蜜柑が豊作になります。狭い土地ではありますが、これくらいの家なら建つのではないかと思っています。
何か新たな展開が必要になったときに、活用できればと思っています。

 

さらなる「上を目指す」方向についてですが、今、のらの2Fは1LDKのアパートが2部屋あります。 

一昨年の年末、201号に新井さんと私の共通の知人である重川さんがやってきました。新聞記者を35年で定年後、大学講師を10年、そして第3の人生の段階で、上野の「池之端」からさいたま市の「鹿手袋」に転居して来たわけです。
玄関を開けると、すぐ目の前がBABAラボの事務室、階段を下りると「のら」があって、週2回、のらで皿洗いのボランティアをして、気に入ったワークショップがあれば参加するという生活を送っています。 

202の方は一般のアパートで、いわゆる一般の方が住んでいます。 現在はアパートいう形を取っていますが、「のらの運営に関わる人たちが共同利用できる場所にできないか?」ということを考えています。
そして、共同利用の選択肢がたくさんできて、この二部屋だけでは収まらなくなった暁には、あの幻の「小峰マンション計画」もありではないかと思っています。